※ 前回、希望価格での落札により早期に終了しましたが、落札者キャンセル(「荒らし」に遭ったようです。)のため、再出品した次第です。【製品について】 東欧 旧チェコ・スロバキア Tesla社の11inch (27cm) アルニコ フルレンジ 2 AN 633 70。1950年代前半の製品になります。リード線の取り出し個所の四角の留め金具など、時代を感じさせる作りです。50は比較的よく見かけますが、70はかなり希少な製品だと思います。7０の最大の特徴は、搭載された超重量級の大型アルニコ・マグネットにあります。ラウンド径11inch弱の大きさですが、ユニット全体で4kg強の重量があります。まだまだモノラルが主流の時代の業務用の製品です。モノラル用１本での出品です。 Tesla社は、戦前から放送局や劇場の音響機器、設備を手掛けていたメーカーで、東欧諸国の中でも飛びぬけて高い技術力を誇っていました。この優れた技術をベースに、音楽性に溢れた、音質的にも魅力ある音響機器を提供していました。同社のハイファイ・タイプのフルレンジは、1940年代に開発されたV3シリーズ(V3-Ca1など)、1950年代の632や633シリーズ(2 AN 632 07や2 AN 633 50など)、そして現在、比較的広く流通している1960年代のAROシリーズ(ARO511など)という歴史を辿ります。(AROシリーズのごく初期までは、一貫してアルニコ・マグネットが採用されていました。)出品のフルレンジ 2 AN 633 70もこの過程で生まれたユニットで、大型のアルニコ・マグネットとフィックスド・エッジ、コルゲーション・ダンパーという構成になっています。 音質的には、基本的に、音の響きが豊かで音跳びの良い、Klangfilm系のホール・トーンです。旧チェコスロバキアという、数多くの音楽家を輩出してきた国民の優れた音楽的教養によって鍛え上げられたメーカーのユニットらしく、充実した中域を核とした音作りで、11inchサイズの大型フルレンジということもあって、現代のスピーカーと較べるとナローレンジといった感は否めませんが、それを補って余りある、格調ある高い音楽性が魅力のユニットです。Klangfilm系らしい音の密度の濃さや帯域バランスの良さ、さらには自然な音の伸びやかさなど、どこか懐かしい、温かみのある音楽を提供してくれます。個人的には、この音の響きと跳びの良さから、モノラル再生の中心として使用してきたユニットです。 世界的には、多くのメーカーがグローバリズムの中で、その個性を薄めていった中にあって、東欧という土地柄もあったのでしょうが、Tesla社は独自の道を歩んでいたようです。ローカリティというべきか、明確な個性をもった、音楽性豊かなスピーカーは、趣味の世界では、現代という時代にも十分魅力的だと思います。 能率も、現代のスピーカーに較べればかなり高めですから、小出力でかまいませんので、音質的に良質なアンプを使っていただければと思います。 ラウンド径270mm。取り付けネジの穴位置は、ネジ穴対角でおよそ255mmになっています。 【商品の状態について】 〇 やはり70年近い歴史のある製品らしく、古めかしさは感じられますが、コーン紙やエッジ、センター・キャップなど、音質に直接関わる部分については、ほとんど傷みは見られません。 〇 ガスケットのフェルト・テープはいずれかの段階で貼られたもので、オリジナルではないと思います。 ○ 公称インピーダンスは4～6Ω。4Ωの扱いでよいと思います。 【その他】 発送はヤマト宅急便、１ヶ口。送料着払いでお願いします。 輸送中の何らかのトラブルで、製品としての機能に問題があったり、状態が説明と著しく異なったりした場合、2週間以内に、その旨ご連絡いただければ、返品は受け付けます。 なお、同時に、趣味の音響製品を何点か出品しておりますので、よろしかったら、そちらもご覧ください。